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動画プロモーションにおけるチェックポイント

ローカライゼーション
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A. Nishio

近年、YouTubeをはじめとした動画配信サービスの拡大で、動画を視聴することは私たちの生活の一部となっています。動画がより私たちの身近なコンテンツになったことにより、動画を活用したプロモーションの需要も大幅に高まってきています。

過去の記事においても、いくつかの動画事例を紹介しているように、現在、ジャパンガイドでは公式ウェブサイトと並行して、公式YouTubeチャンネルの運営を行っています。
2021年6月7日現在、チャンネル登録者数は約20万人、動画数は98本にのぼります。

YouTube動画のプロモーションの大きな特徴として、ユーザーの反応をダイレクトに見られる点が挙げられます。
中でも動画再生回数は、文字通り、動画の視聴数が顕著に表されたもので、第一印象で大きなインパクトを与えるデータといえます。

では、再生回数が多い動画=良い動画といえるでしょうか?

結論としては、必ずしもそうだとは言い切れないというのが正直なところです。

YouTubeで公開された動画は再生回数をはじめ、視聴者からコメント数Like数のほか、平均視聴時間視聴者維持率などから、視聴者の反応をダイレクトに受けとることができます。
チャンネルの管理者はもちろん、視聴ユーザー側も数値として視覚的に動画の評価を閲覧することができるのです。

YouTubeにおいては、それらのユーザー評価をもとに、その動画が「ユーザーの求める情報を提供している有益な動画なのか」「ユーザーを楽しませる動画なのか」などをYouTube側が相対的に判断する仕組みになっています。
そうして質の高さを評価された動画は、YouTubeのトップやホーム画面、おすすめ動画、関連動画として表示され、幅広いユーザーにリーチすることが可能となります。

ユーザーの満足度を表す視聴者維持率

そこで私たちが最重要視している指標の一つが、動画の視聴者維持率です。
視聴者維持率とは、視聴者から動画がどれぐらい再生されていたかを測定した数値のことです。

明確には定義されていませんが、YouTube全体の平均視聴者維持率は約15~20%とされており、40%を超えると、YouTube上で良質な動画と判断され、関連動画やおすすめ動画に掲載される確率が高まるとされています。

またグラフの形状からも、どの地点で視聴者が離脱しているのか、繰り返し見られているシーンがどこなのかなどより詳細に分析することが可能です。

(YouTubeの公式サイトで明記されているグラフから読み取れる性質:YouTubeヘルプ参照) 

ユーザーからのニーズに応えた動画制作

これらをふまえて、実際にジャパンガイドで掲載している動画の事例を紹介します。

1つ目は、昨年の1月に公開された日本の季節ごとの魅力や天候などを詳細に紹介した動画 『When to Travel to Japan?』 についての分析です。

再生回数とLike・Dislikeの数に目が行きがちになるが、YouTube Analyticsでより深い分析をしてみよう

2021年6月時点での再生回数は、90,381回Like 数は2,946件(全体の99.2%)とチャンネルの中でも人気の高い動画の一つです。

注目すべき視聴者維持率については、57.3%とYouTube平均(10~20%)と比べても、かなり高い数値で推移しており、ユーザーにとって求める一定のコンテンツをしっかりと提供できていることが伺えます。
ジャパンガイドは、具体的に訪日計画中のユーザーが多い傾向にあります。
日本の気候やそれぞれの季節の見どころ・おすすめスポットを紹介したコンテンツは、実際に旅行を計画する上で、とても重要で興味深い情報といえます。
そういったユーザーのニーズに合ったコンテンツを提供することで、結果として、高評価を得られているのです。

また、グラフ推移についても動画序盤(イントロダクションパート)と終盤(エンディングパート)での下降は見られるものの、動画のメインパートについては、ほぼ平坦に推移しており、視聴者が途中で離脱することなく、継続して動画を視聴していることがわかります。

(YouTube Analytics データ参照)

また別の事例として、2019年7月に公開された、大分から熊本まで九州を2泊3日のロードトリップで横断し、各エリアの魅力的なスポットを紹介した動画『Across Kyushu 3 day road trip』をご紹介します。

Across Kyushu 3 day road trip

掲載開始から約2年経過した2021年6月時点の再生回数は、359,366回とチャンネル内でもかなり人気の高い動画となっています。
Like数も4,390件(全体の97.9%)と、ユーザーからの評価も大変高くなっています。

視聴者維持率についても、44.9%とこちらもYouTube平均を大きく上回る数値で推移し、YouTubeが一つの基準として掲げている40%を上回る結果になっています。

(YouTube Analytics データ参照)

この動画のもう一つ注目すべき点は、動画の長さです。
ジャパンガイドのチャンネルにおいて、通常8~10分の動画が大多数を占める中、本動画は24分を超える長編の動画となっています。
以前からコメント欄で多数寄せられていた「もっと長い動画を作ってほしい!」というユーザーの声を受け、チャンネルとして初めて20分を超える動画を制作したという背景があります。

1つ目の事例の際にも触れているように、ジャパンガイドユーザーは、基本的に実際の旅行を計画している訪日意欲の高い層が多く、より詳細な情報を求める傾向にあります。
そのため、ジャパンガイドのコンテンツについても、「実際にコピーができる旅程紹介」を念頭に置き、マップを活用した移動経路や交通情報まで詳細に紹介をしたスローペースな構成の動画が多くなっています。
この九州の動画は、そんなユーザーのニーズに合ったよりゆったりとしたペースで行程を詳細に紹介した動画になっています。
この点が、ユーザーからの評価が高い、人気の動画になった理由と考えられます。

その評価は視聴者維持率にも表れています。
通常、動画尺が長くなるにつれて、必然的に視聴者維持率についても低くなる傾向にあると言われます。
しかし、こちらの動画の視聴者維持率は、YouTube平均の2倍以上という数値で推移しています。

再生回数の継続的増加

こうしたユーザー評価による影響は、両動画の再生回数の推移にも表れています。

  • 『When to Travel to Japan?』の再生回数推移(2020/1/23~現在)
(YouTube Analytics データ参照)

・『Across Kyushu 3 day road trip』の再生回数推移(2019/7/22~現在)

(YouTube Analytics データ参照)

上記で述べたように、ユーザーから高評価を得られたことで、動画そのものの質が認められ、YouTube内での露出度が増え、結果として、掲載から数年経った今でも順調に再生回数が増加していると推測されます。
動画が広く露出されることで、幅広いユーザーに動画がリーチされ、再生回数の増加やチャンネル登録につながっていくのです。

今回は動画プロモーションにおけるチェックポイントをジャパンガイドの事例と共に紹介しました。今後、動画プロモーションを検討する際のひとつの基準として参考になれば幸いです。

(参考文献)