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ジャパンガイドの非英語圏ユーザーのアクセス傾向から見える特徴・傾向

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A. Nishio

ジャパンガイド/japan-guide.comの主なユーザーは、欧米豪シンガポールをはじめとした英語ネイティブ圏が中心となっています。一方で、実は東南アジア圏やヨーロッパ圏など幅広い国のユーザーからのアクセスも一定数発生しています。

今回は、そんな非英語ネイティブ圏の国にフォーカスし、それぞれの国のアクセス傾向や特徴を分析しました。

下の表は、コロナウイルス拡大前の2019年の国別アクセスランキングです。
冒頭でも述べたようにアメリカ、シンガポール、オーストラリアを筆頭に、ジャパンガイドのメインユーザーである英語ネイティブ圏が上位を占めています。
その一方で、インドネシアやマレーシアなどの東南アジア圏、さらにはドイツやフランスなどの欧州の非英語圏の国々も多数ランクインしていることがわかります。

【ジャパンガイド 国別アクセスランキング(上位20ヵ国)】

アクセス数全体割合%
1日本11,581,66027.80%
2アメリカ7,091,76917.02%
3シンガポール3,439,0048.25%
4オーストラリア2,677,8966.43%
5インドネシア2,523,1166.06%
6イギリス1,789,5584.29%
7フィリピン1,494,6933.59%
8マレーシア1,381,9023.32%
9カナダ1,236,8092.97%
10タイ1,198,0802.88%
11香港621,1681.49%
12インド552,5821.33%
13ドイツ501,7741.20%
14フランス316,1250.76%
15オランダ311,9370.75%
16ニュージーランド275,2360.66%
17イスラエル272,1720.65%
18ベトナム226,8380.54%
19イタリア224,0940.54%
20韓国200,7700.48%
(Google analytics:2019/1/1~2019/12/31データ参照)

ここからは、さらに上位にランクインする非英語ネイティブ圏の国の中でも、直近5年間でサイトアクセス数に変化が大きくみられた国をピックアップし、分析していきます。

アクセス数が増加傾向にある国

▪ フィリピン(国別アクセス数:7位)

サイト全体の国別アクセス数は7位と、欧米豪圏に並んで高いアクセス数となっています。
公用語として英語が使用されている背景も大きな要因となり、東南アジアの中でも比較的アクセス数が多いと考えられます。

2015年から2019年にかけてのジャパンガイドサイトへのアクセス数増加率は+26.43%と、特に伸びている国の一つです。

同期間の訪日客数の推移を見ても、2015年の268,361人に対し、2019年は613,114人(+128%)と順調に増加しています。
ジャパンガイドへのフィリピンからのアクセス数増加の要因は、同国からの訪日観光客数が増加したことが関係していると考えられます。

月別の訪日客数をみると、最も人気なシーズンは12月の冬季、続いて4月の春季となっています。

(参照:日本政府観光局(JNTO) :国籍/月別 訪日外客数(2003年~2020年))

この傾向は、ジャパンガイド上のアクセス傾向にも表れています。
フィリピンユーザーのページ別アクセスランキングの2位に、日本国内の豪雪地帯・スノーシーズンに人気なスポット(温泉や祭りなど)を紹介した「Snow Destination」ページがランクインしています。

【フィリピンユーザー ページ別アクセスランキングTOP10】

ページ
1トップページ
2Snow Destination(雪スポット)
3大阪
4京都
5神道
6名古屋
7東京
8Japan Rail Pass
9関西国際空港
10伏見稲荷
(Google analytics:2019/1/1~2019/12/31データ参照)

また、東京を抑え、3位に「大阪」、4位に「京都」、6位に「名古屋」と、近畿~中部エリアページの人気が高い傾向にあることがわかります。
さらに「関西国際空港」も9位にランクインしています。
このことから、成田空港発着が一般的な欧米豪圏の旅行客に比べ、関西国際空港発着での訪日旅行を計画するユーザーの割合が多いと考えられます。

また、上記のようなエリアページのみだけでなく、「伏見稲荷」といったスポット紹介ページも10位以内にランクインしています。
これは、他の国のアクセスランキングではあまり見られない特徴です。
このことから、実際に具体的なスポット名まで理解し、情報を収集している訪日確度の高いユーザーが一定数存在すると考えられます。

▪ インド(国別アクセス数:12位)

12位にランクインするインドは、全体割合としては1.33%と全体割合としては大きな割合とは言えません。
しかし、2015年から2019年にかけてのジャパンガイドへのアクセス数は+30.70%と、ユーザーが順調に増加していることがわかります。

ジャパンガイドサイト内、ページ別のアクセスランキングをみると、やや他国のデータとは別の特徴的な結果となっています。

【インドユーザー ページ別アクセスランキングTOP10】

ページ
1トップページ
2温泉
3携帯電話
4東京
5宗教
6Living cost in Japan(日本での生活費)
7日本映画
8When to Travel
9新幹線
10Japan Rail Pass Calculator(JR Passシミュレーター)
(Google analytics:2019/1/1~2019/12/31データ参照)

インドユーザーからの人気ページランキングでは、エリアページよりも、日本での一般的な家賃や公共料金など生活費について紹介した「Living cost」ページや「宗教」、「携帯電話」を紹介したページなどが多く見られます。
このことから、より実用的な情報を求める傾向が強いことが伺えます。

その一方で、日本の季節別おすすめスポットを紹介した「When to Travel」ページ、「新幹線」や「Japan Rail Pass Calculator」といった交通情報に関連したページなども上位にランクインしています。
このことから、実際に訪日計画中、もしくは訪日確度の高いユーザーが多いことも読み取れます。

月別の訪日客数をみると、他国に比べてあまり大きな月ごとの変動は見られないものの、3~5月にかけての春季に最も旅行者が多い傾向にあることがわかります。

(参照:日本政府観光局(JNTO) :国籍/月別 訪日外客数(2003年~2020年))

▪ イスラエル (国別アクセス数:17位)

イスラエルも17位にランクインしているものの、サイト全体のアクセスに占める割合は0.65%と、大きくはありません。
しかし、2015年から2019年にかけてのジャパンガイドサイトアクセス増加率は+108.43%と、前述の2か国と比べてもさらに大幅なユーザー増加が見られました。
訪日客数の推移をみても、2015年の21,928人から2019年の44,214人で+101.63%と、こちらも順調に増加しています。

イスラエル市場は、まだ日本を訪れたことのない未訪日層の占める割合が多いと考えられています。
そのため、ジャパンガイドサイト内のページ別アクセスランキングの上位には、「東京」や「箱根」、「京都」など訪日旅行客に人気のあるメジャーなエリアがランクインしています。
また、日本の季節別おすすめスポットや気候などを紹介した「When to travel」ページや、希望エリアや旅行日数に応じた行程を提案する「Itinerary Ideas」も人気ページとなっています。

さらに訪日後の交通手段に関する情報を記載した「Japan Rail Pass」ページが2位にランクインしています。
このことから、実際に旅行を計画中の訪日意欲の高いユーザーからのアクセスが一定数発生していることが伺えます。

【イスラエルユーザー ページ別アクセスランキングTOP10】

ページ
1トップページ
2Japan Rail Pass
3東京
4箱根
5When to travel
6Itinerary Ideas
7上高地
8京都
9Electricity
10高山祭
(Google analytics:2019/1/1~2019/12/31データ参照)

特徴的な点としては、7位の「上高地」、10位の「高山祭」が挙げられます。
この要因として、第2次世界大戦中にナチスの迫害から逃れようとしたユダヤ人に日本通過ビザを発給し、多くの命を救った外交官、杉原千畝の生誕地である岐阜県八百津町に所在する「杉原千畝記念館」が背景にあると考えられます。
この記念館はイスラエル人にとって聖地となっており、多くの旅行客が訪れています。
記念館を訪れた旅行客がその周辺のスポットを観光するため、岐阜県の高山に関連するページや、上高地などが上位にランクインしていると読み取ることができます。

人気ページとの大きな関連性は見られないものの、月別の訪日客数は3~4月にかけての春季9~10月にかけての秋季が最も多い傾向にあります。
これらは桜や紅葉が楽しめる人気シーズンであり、また気候的にも旅行しやすい時期です。
またイスラエルは9~10月にかけて祝日や祭日が多く、その時期に旅行を計画する人が多いことも、10月に最も訪問客が多い理由の一つかもしれません。

(参照:日本政府観光局(JNTO) :国籍/月別 訪日外客数(2003年~2020年))

2020年3月には成田空港とイスラエルの商都テルアビブのベングリオン空港を結ぶ直行便が就航し、今後さらなる訪日客の増加に期待が寄せられており、パンデミック後の観光客の往来に注目です。

▪ ベトナム(国別アクセス数:18位)

18位にランクインするベトナムは、2015年から2019年にかけてジャパンガイドサイトアクセス数が+31.26%と比較的大きな伸びを見せており、今後もユーザーの増加が期待できます。

日本への月別訪日客数推移をみると、4月の春季が最も人気なシーズンとなり、続いて10月の秋季が人気となっています。
東南アジアからの訪日客数が春と秋に増加する大きな理由としては一般的に、自国にはない四季を感じられる自然や植物への関心の高さがあると考えられています。

(参照:日本政府観光局(JNTO) :国籍/月別 訪日外客数(2003年~2020年))

そのような傾向は、ジャパンガイドサイト内のページ別アクセスランキングにも表れています。
5位に日本全国の桜の開花予想を紹介した「Cherry Blossom Forecast(桜の開花予想)」ページ、また8位に全国の紅葉情報をレポートした「Autumn Color Reports(紅葉レポート)」の紹介ページがランクインしています。
春・秋に関連するコンテンツへの人気の高さが伺えます。

【ベトナムユーザー ページ別アクセスランキングTOP10】

ページ
1トップページ
2東京
3Japan Rail Pass
4大阪
5Cherry Blossom Forecast(桜の開花予想)
6京都
7Japan Rail Pass
8Autumn Color Reports(紅葉レポート)
9成田空港
10富士山
(Google analytics:2019/1/1~2019/12/31データ参照)

アクセス数が減少傾向にある国

▪ タイ(国別アクセス数:10位)

2015年時点では国別サイトアクセス数は全体の5位とかなり上位にランクインしていましたが、2019年は10位と順位を落とし、アクセス数は-36.13%となっています。
要因としては、「Chill Chill Japan」をはじめとした現地の訪日向けポータルサイトの普及や地元インフルエンサーなどの人気の高さが挙げられます。

とはいえ、2019年の訪日客数が130万人を超え、日本のインバウンド市場おいても大きな割合を占めるタイユーザーからのアクセス数は、ジャパンガイドサイト全体においてまだまだ上位につけています。

日本への月別訪日客数推移をみると、4月の春季10月の秋季~12月の冬季にかけて最も高い数値となっています。

(参照:日本政府観光局(JNTO) :国籍/月別 訪日外客数(2003年~2020年))

ベトナムユーザー同様、四季ごとのトピックへの関心が高く、その傾向は下記のページ別アクセスランキングからも伺えます。
紅葉や桜のレポートを紹介した「Autumn Color Reports(紅葉レポート)」(2位)や「Cherry Blossom Forecast(桜の開花予報)」(6位)、日本国内の雪を楽しめるスポットを紹介した「Snow Destination」や東京のイルミネーションスポットを紹介した「Winter Illuminations in Tokyo(冬のイルミネーションスポットin東京)」など、各季節に関連したページが上位を占めています。

【タイユーザー ページ別アクセスランキングTOP10】

ページ
1トップページ
2Autumn Color Reports(紅葉レポート)
3東京
4京都
5大阪
6Cherry Blossom Forecast(桜の開花予報)
7Winter Illuminations in Tokyo(冬のイルミネーションスポットin東京)
8IC Cards
9Snow Destination(雪スポット)
10ゴールデンウィーク
(Google analytics:2019/1/1~2019/12/31データ参照)

今回は英語ネイティブ圏以外の国々にフォーカスをあてて紹介をしました。
国別に分析をすると、「非英語圏」という括りのなかでも、それぞれの国における興味、関心度の違いが浮かび上がってきます。
すでにインバウンドの経済効果が高い国から今後のマーケット拡大が期待される国までさまざまですが、それぞれのターゲットに合わせたプロモーションを打ち出していくことが今後ますます重要となってくるでしょう。

(参考文献)